2006年09月02日

コンテンツビジネスの甘え

「ローマの休日」など50年以上前に製作されたDVDの販売をめぐり、先日販売会社が勝訴する判決がありました。
映像の著作権が70年に延ばされたのを受けての裁判でしたが、私はこの判決を個人的には全面的に支持します。
大体、一私企業が50年以上前の遺産で更に儲けようとする時点で間違っていると思っています。
映画製作会社に対しては、以下のように説教してやりたいと思うことがあります。

製作後50年でおまえらとっくに製作費はペイできて、十分儲けも出しているだろう、それでも更に儲けようとするのは余りに甘えすぎた態度ではないか。もう、社会的公共財として認めてしまっても良いだろう。製造業で、50年以上も昔の製品をそのまま作っていて儲けているところは殆ど無いし、知的所有権としての特許だって期限は20年だ。それなのに、いつまでも過去の遺産で喰い続けようとする映画製作会社の態度はは余りに見苦しい。悔い改めよ。

と、言う訳で、今回はこうした見苦しさとは対照的なコンテンツ制作メーカーを紹介しましょう。
それは、ギャルゲーを作っているアリスソフトと言う会社です。
この会社は、過去のソフトのうち、対応ハードウェアがほとんどなくなったもの等を積極的にフリーウェア化(著作権は保持)してきました。対応ハードがなくなったとは言っても、エミュレータを探す等の努力をすれば、楽しむ事は可能です。
そして、昨日9/1には、更に13作品を配布フリー化しました。これらの中には、WindowsXPで動作するものも含まれています。
アリスソフトは、18禁専門ゲームハウスですので、社会的な認知度はハリウッド大手や日本の大手映画製作会社に比べると低いものですが、こうしたユーザー重視の姿勢は非常に尊いものです。
議会対策でミッキーマウス法(米国での著作権延長法を揶揄した言い方です)や、ゴジラ法(今回の著作権延長法を私はこう呼びたいと考えています。あるいは黒澤法と。著作権が50年だと戦後日本映画黄金期に製作されたゴジラや黒澤、小津などの作品は今後次々と著作権切れになるのです)を作り、過去の遺産からの揚がりを安穏と受け取っている映画製作会社には、アリスソフトの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい気分です。
posted by とのじ at 12:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化・芸術

2006年05月17日

デジタルシネマ

ハリウッド大手が次世代のデジタルシネマ実現に向けて、DCI(Digital Cinema Initiatives)を結成し、昨年7月にその要求仕様を決定したのは旧聞に属することです。また、これに基づいて昨年末には国内で商用化実験もされました。ちなみに解像度は4096x2048です。通称、4k×2kと呼ばれています。
そして、この度デジタルシネマの第二弾が公開されます。
「ダ・ヴィンチ・コード」と「ポセイドン」です。

これからは銀幕も高精細 ダ・ヴィンチ・コード 800万画素デジタル上映
映画業界とNTTグループによる「高精細デジタルシネマ」の商用化実験に十六日、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントと映画館チェーンのワーナー・マイカルが新たに参加を表明した。その第一弾となる「ダ・ヴィンチ・コード」(五月二十日公開)と「ポセイドン」(六月三日公開予定)はフィルムをまったく使わないデジタルシネマでも上映され、ハイビジョン映像の四倍という高画質が売りとなっている。
国内でのデジタルシネマ上映館は、「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」(東京都港区)と「同高槻」(大阪府高槻市)、「ワーナー・マイカル・シネマズ板橋」(東京都板橋区)。このほか、米ロサンゼルスなど四館の合計七館に限られるものの、ハリウッドのメジャースタジオやシネマコンプレックス(複合型映画館)大手のワーナー・マイカルをはじめ参加企業の増加に伴い、作品数と劇場数は増えそうだ。


上映館は限られていますが、ちょっと先の末来の体験ができるかもしれません。
posted by とのじ at 13:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 文化・芸術

2005年09月09日

知的所有権についての一考

知的所有権に関するニュースがこのところ、多く報じられています。
特許に関しては、中韓に対する侵害訴訟が報じられています。
著作権に関しては、iPod等のデジタル・オーディオ機器に対し課徴金を付加しようとしている件や、一部の著作権の有効期限を製作後70年に延ばす改正著作権法が可決されています。
ところで、知的所有権の代表とも言える特許と著作権ですが、この両者はその扱いに極めて大きな差があります。
簡単にまとめると、以下のようになるかと思います。

特許: 権利を得るためには出願が必要。この書類は書式が定められており、素人が自分で書式に沿って書く事はまず不可能なので、弁理士等に特許内容を説明して清書してもらい提出するのだが、そのための費用は約30万円ほどである。また、認められるまでは、様々な審査が必要となる。特許審査に通り、ようやく特許として認められる。有効期限は出願日より20年。

著作権:日本では、作品を制作したときに自然発生。有効期限は、法人の場合には発表後50年、個人の場合には作者死後50年。また、2003年の著作権法の改正により、映像の著作権は70年に延ばされた。

どうでしょうか。知的著作権として同じように見做されている割に、非常に扱いに差があることがお判りになるかと思います。双方ともにそれなりの歴史があって今の様な制度になったものですから、両者を同じ扱いにせよ、などと無茶な主張はしません。
ただ、著作権を後ろ盾に、怪獣映画や過去の巨匠の作品で儲け続けている某映画会社や、デジタルオーディオ機器に課徴金を掛けようとしている著作権団体等の姿、またネットでの利用に関する混乱した議論を見るにつけて、著作権はもっと利用に関しては緩やかな方向にしても良いのではないか、と思わざるを得ません。
特に保護期間は特許に比べて余りに長すぎる、と個人的には感じています。また、運用に関しても、より柔軟であっても良いかと思います。
データとして流通するコンテンツの特徴の一つとして、"本物の複製が簡単にできる"事が挙げられます。これは、著作権に関する法律が作られたときには、想定されていなかった事態です。ネット環境に適合した著作権のあり方については、これから議論が深まっていく事と思いますが、是非ネットでの著作物の利用を促進するような柔軟な方向で議論が進んでいって欲しいものと願っています。
また、特許に関しても、もっと負担なく個人が申請できるようなものに変化していって欲しいもの、と思っています。
posted by とのじ at 12:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化・芸術

2005年05月31日

太陽光で動く永久機関の話

さて、とある小説で、
『開巻冒頭にこの世界にはあり得ぬ永久運動の時計台を掲げたのは、nowhere, nobodyの場所から出発したかったためであり、また、そのような小さな実験室を設定することなしにこの作品は一歩も踏み出し得なかったのだから。』
と、序文に書かれているのですが、それでは、その時計の仕組みは、と見てみますと、
『・・・つまり、二つ以上のものが存在する自然は、永久運動の基盤だ、という原理です。おお、三輪君、そのことに注意してください。そして、彼があの時計を製作した後に・・・強烈な反射盤を内部に備えた真空の硝子箱が製作され、あの塔の上部へ据えられたんです。この方法は極めて単純で??太陽の位置へ向かって展いた硝子箱内部に湛えられた水が、太陽熱で蒸発すると、上部に区割された房に貯えられ、毛細管に似た管によって一定の場所へと集中されるのです。そして、水へ還元された蒸気は、時が敲される瞬間、水滴となって落下しながら、精妙な振動盤の端へ設けられた小さな、精巧な水車をつづけざまに廻転させるように工夫され・・・つまり、進歩した水時計が出来上がった訳です。そして??どうも癲狂院に適わしい、奇妙な話ですが、あの時計は螺子も捲かれずに、いまだに動いてるんです。』
これは、永久機関なのでしょうか? 太陽光をエネルギー源として動いているちょっと凝った時計としか思えないのですが、作者は亡くなってしまっているので、真意を確かめる術はありません。
死人に鞭打つことは品のいい事とはいえませんので、ここでこの作品名は明らかにしません。ただ、非常に難解な小説として有名な作品である、とだけ言っておきます。
しかし、これを永久機関だと信じ込んでしまうような科学的知性の足りなさを見せられると、他で如何に深遠なことを言っていても白けてしまいます。ちなみに、私はこの一節を読んで、余りの莫迦らしさのため、投げ出してしまいました。
それにしても、なんでこんな事を思い出したのでしょう。そちらの方を不思議に思いました。

追記・・・思い出しました。村上龍の「半島を出よ」を、リアルだ、と評する文芸評論家の余りの多さに呆れて、こんな事もあったと思い出したのでした。
posted by とのじ at 21:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化・芸術
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