2005年10月19日

ニューメディア、マルチメディア、ユビキタス

通信業界の流行りのキーワードは、ほぼ10年毎に変わります。
20年前には、ニューメディアと言う言葉が流行りました。マルチメディアは10年ほど前です。そして、今はユビキタスと言う言葉が流行っています。
ニューメディアの時は、キャプテンシステムなるものが目玉でした。一応、通信回線上で画像と音声を扱い、なんだか良く判らないけれど新サービスを展開する事が目標でしたが、通信回線もISDNが精一杯であり、しかも、当時はまだPCは高嶺の花であった上に性能自体も低かったので、あっさり消えていきました。
そして、次に出て来たのが「マルチメディア」です。これはニューメディアのときと違い、世界的に言葉だけは流行りましたが、実態についてきちんと説明できる人は皆無でした。今改めて考えてみますと、一応「映像、音声、データの各サービスを融合し、自由に扱うことができるような仕組みを作り、新サービスを提供する」くらいのところに落ち着くかと思います。PCに関しては、Windows95も出てきて、普通に手に届く程度のものになりましたし、動画は無理にしても、静止画や音声は扱うことができるようになり、一応マルチメディアらしいことができるようなものになっていました。しかし、通信回線はニューメディアの頃とほとんど変わらず、ただISDN機器は安くなったので導入しやすくなり、アナログモデムもかなり速度が上がってきただけでした。結局これも言葉ばかりが先行して、実態が伴わなかったため、消えていきました。
さて、そして今は、「ユビキタス」が旬の言葉となりました。
ユビキタスとは、「いつでもどこでも、高度通信サービスを受ける事ができる環境を構築し、ユーザに提供する」くらいの概念です。
今回がこれまでと異なる点は、インフラやハードウェアに関しては、ほぼ構想を受け入れられるだけのものがそろっている点です。
PCは今やコモディティ商品となり、モバイル端末としては携帯電話が高度に発展しています。また、通信回線に関しては光ファイバーの本格的な普及が始まっており、無線も携帯の他に無線LANスポットの拡大や無線タグの登場など、様々な新技術が出現しています。ただ、通信回線に関して技術の進歩以上に大きかったのは、「ベスト・エフォート」の概念の浸透でしょう。これにより、通信料金は従量制から定額制に移行し、通信使用の際に料金を気にすることがなくなりました。
このように見ていきますと、ユビキタスに関しては、基本的なツールは揃いつつあります。次はこれをどう使いこなすか、が問題になってきます。この領域では、下から積み上げていく発想は通用しません。むしろ、突拍子も無いように見えるアイディアでも、それが多くのユーザに受け入れられる可能性があるならば、実現できてしまう事もあるでしょう。
もう30年くらい昔から叫ばれ続けていた「来たるべき高度情報化社会」がようやく実現しようとしている今、その社会がどのようなものになるかは、これから数年間で基本的な部分は決まってしまうでしょう。そう感じています。
posted by とのじ at 12:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 情報通信
この記事へのコメント
マルチメディアに関しては当時在籍していた会社が渦中に巻き込まれましたので、いろいろと覚えています。

ちょっと視点が変わるのですが、マルチメディアバブルというものはありまして、Appleのクイックタイムとハイパーカード、マクロメディアのディレクターをプラットフォームとしてCD-ROMでの作品が大量に発売された時期です。これによりPC/MacにCD-ROMドライブが標準搭載されるようになりレコード会社の傘下だったCD工場がやがてレコード会社の元を離れてIT業界を主要な顧客にしていく転機になります。(もちろん現在ではCD-DAよりもCD-ROMの方が生産高/生産数が多い) OSがCD-ROMで供給されるようになったのもこのころからでした。

そしてCD-ROMタイトル製作の作業であるオーサリングという行為がDVDの規格に影響を与え、マルチメディアコンテンツはプラットフォームに依存しないweb上で動作するように変わっていったのでした。

そういった点を考えるとマルチメディアは今に至るまで世界を巻き込んだムーブメントであったといって差し支えないような気がします。
Posted by Lcs at 2005年10月19日 13:57
仰る通り、あの頃からCD-ROMが雑誌のおまけで付いてくるようになり、「マルチメディアPC」と言うのが単なるCD-ROMドライブとスピーカを追加したものだったりといろいろありました。CDやDVDも今ではデータ用が主用途になっていますから、PCやパッケージメディアについては、マルチメディアは影響を残していったのでしょうね。
Posted by とのじ at 2005年10月20日 12:32
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