2005年06月28日

鳴り響くタンバリン

オーケストラで使われる打楽器はモーツァルトの頃はティンパニーくらいなものでしたが、時代を下るにつれて、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、鐘、銅鑼、タンバリン、マリンバ、シロフォン、大砲、鞭、等叩いて音が出るものならば何でも使われるようになりました。
この中でも、タンバリンは、音量も大してないのに、使われることがあります。有名なところでは、ストラヴィンスキー「火の鳥」(1910年全曲版)やショスタコーヴィッチの「交響曲7番」といったところでしょうか。音量があまり無いので実演ではがんばって叩いてもあまり目立ちませんが、オーケストラの強奏の大音量の中で印象的なリズムを刻んでいたりすることがあります。こういう時には、録音技術の出番です。タンバリンの前に専用のマイクをセットして、出番では、フィーダーをうんと上げて、どの楽器よりも目立たせます。この様にして、オーケストラの中で一番鳴り響くタンバリンの誕生です。
極端な例として、ゲルギエフ指揮の「ショスタコービッチ: 交響曲第7番」をあげます。
この第一楽章の13:51からの箇所と、15:06からの二箇所で、タンバリンが他のどの楽器よりも存在を主張します。まさに、鳴り響くタンバリン、です。
ちなみに、他ではどうかと幾つか調べてみました。
まずは、コンドラシンがソヴィエト時代に国家プロジェクトで録音した初の全集からです。録音年は1975年と、ショスタコービッチが亡くなった年ですから、この録音に立ち会ったか微妙ですが、ある程度作曲者から曲の解釈上の疑問点などを聞いて録音したものと思われます。この盤では、タンバリンは実演よりは強調されているかもしれませんが、控えめにオーケストラのバランスを崩さない程度に鳴っています。
次は、作曲者との直接の交流は無かったであろう1962年録音のバーンスタイン指揮NYフィルの演奏です。これでは、タンバリンに専用マイクが設けられていて、リズムを刻むところではしっかりと強調されています。ただ、ゲルギエフほど極端ではありません。ゲルギエフとコンドラシンの中間よりもコンドラシン寄りでしょうか。
最後は、放送録音らしいケーゲル指揮MDR交響楽団のものです。これは1972年の録音です。これでは、マイクの数も少なく、タンバリンに専用マイクもセットされていないようです。これが実演に一番近いバランスではないかと思います。この場合、最初の方では意識していればタンバリンのリズムも聞こえますが、二度目のは他の楽器にかき消されてほとんど聞こえません。
この様な不自然な強調に対しては、納得できないという人もいるでしょうが、作曲家のオーケストレーションのまずい部分を録音技術により補正して、作曲家のイメージにより近づけるという意図の下で録音されているとしたら、一概に否定できません。
とは言え、ものには限度というものがあって、ゲルギエフのは、やはり、やり過ぎだと思うのです。
posted by とのじ at 01:53 | Comment(2) | TrackBack(1) | オーディオ
この記事へのコメント
こんばんは。
この手の打楽器の強調に関しては、マーラーの「悲劇的」のハンマーを思い出してしまいます。やはりえらく強調されすぎていると、ワタシは引いてしまいます。ご紹介のゲルギーのタコ7のCDは持ってるので、あとで聴いてみようと思います。タコ7はこれしかないので比較対照がないのが残念ですけど(苦笑)
こういう音響バランスに関しては、ミキシングの際、指揮者も参加して録音技師にいろいろ注文つけたりすると思うので、例えばそのタンバリンなんかに関してもゲルギエフの意向が反映されているのでしょうかねぇ。。。
Posted by ya-ya-ma at 2005年06月28日 02:30
多分、タンバリンの強調はゲルギエフの指示によるものかと思いますが、ここまであからさまにやることまでは、予想していなかったかもしれません。
火の鳥の1910年全曲版でもブーレーズとN.Y.フィルの演奏で同様なタンバリンの強調部分があったのを覚えています。これはストラビンスキーの自作自演版もあるので、そのうち違いを比較してみようと思っています。
Posted by とのじ at 2005年06月28日 12:04
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