2005年06月18日

エンコード/デコードの仕様が無い圧縮技術

そんなものが存在するはずがない、と叫ばれる方もいるかもしれません。
ところが、この世にはそんな摩訶不思議な規格も存在しているのです。
どうせマイナーな規格だろうとお思いの方もおられるでしょう。
ところが、これに接したことの無い人は世界中探しても稀だろう、と言う程メジャーな規格なのです。もちろん、これを読んでいるあなたも、毎日接しているはずです。
それはいったい何なんだ、と不思議に思われる方も居られるでしょう。勘の良い方は察してしまったかもしれません。
それは、『ステレオ』あるいは『サラウンド』と呼ばれる規格です。
これらの規格は、上下前後左右360°に広がる空間情報を、2ch(2点)、あるいは5ch(5点)に圧縮して収録し、それを再生時に2点、あるいは5点のスピーカーを使用して空間を再現することを目的とした規格なのです。
ところで、この規格のエンコード、すなわち2ch(5ch)への録音法ですが、実に様々です。ピアノ録音にピアノから30cmのところに10本のマイクを設置してそれをミキシングして、2ch(5ch)に収録しようが、マーラーの交響曲を演奏するオーケストラを天井からつるしたマイク2本で収録しようと自由です。なにしろ、エンコード(録音)にあたっての仕様なんてものは存在しないのですから。
そして、この規格のデコード、すなわち再生方法も極めていい加減です。5chサラウンドでは一応スピーカーの配置に関しては、ITU-Rで推奨配置が決まっていますが、再生のためのスピーカー特性に関しては一切仕様がありません。空間情報の再生には、周波数特性ばかりでなく、とくに位相特性が重要になるものですが、そのようなものに関して、推奨基準が出されたと言う話は一切聞きません。
このように、『ステレオ』や『サラウンド』は、空間情報を一旦2ch(5ch)に圧縮してから再生時にそれを再現すると言う一種の圧縮技術であるにも関わらず、エンコード/デコードに関する仕様が全くないことを理解頂けた事と思います。
さて、この様な杜撰極まりない規格に私たちは今後どのように対処していけばいいのでしょうか? やはり、きちんとした仕様を決めるべきなのでしょうか?
各人様々な意見があるでしょうが、私はこの出鱈目さを良い加減と読み替えて、適当に折り合いを付けつつ、やっていこうと思っています。
出鱈目な浮世だからこそ面白いのよ、とか嘯きつつ。
posted by とのじ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ
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