2007年07月21日

日本の携帯メーカーが海外で弱い理由

日本の主要産業は、複数競合各社が競い合い、技術力と企画力と営業力をアップしてきました。

しかし、携帯電話の場合はキャリアが決定権を握っていた点で他の産業と違いました。
キャリア各社は新たなサービスを創出し、それに対応する仕様の端末を作るよう製造各社に要求してきました。
i-modeやお財布携帯、モバイルスイカなどのサービスは全てキャリアから出されたものであり、端末メーカーは要求されたものを実装したに過ぎません。
こうして、要求されるサービスを実装する技術力は向上しましたが、自ら新たな機能を創出するような企画力はほとんど育たなかったのでした。
そのため、端末メーカーの企画力は技術力の向上に比例して発達する事はありませんでした。
端末メーカーからの提案で目立つものは、カメラ付き携帯くらいでしょうか。

更に悪いのは営業力です。
携帯端末はキャリアが買い上げ、キャリアが小売に卸す形になっているため、携帯メーカーのエンドユーザに対する営業は、ほとんど必要がありませんでした。そのため、エンドユーザに対する売り込みノウハウはほとんど蓄積されないまま、今日に到ってしまいました。
そして、海外で売ろうとした時にも、どうやってエンドユーザに売ったらいいのかとのノウハウが全くありませんでした。また、新たな海外用端末を開発しようにも企画力が弱かったので、魅力的なものは開発できませんでした。
売れないのでは開発部隊のリソースは割けません。すると、新製品を出すことが出来なくなりますのでますます売れなくなる、との悪循環を繰り返し、海外からはほとんど撤退する事になってしまいました。

その背景に、日本における熾烈な競争とそれに見合う旨みがある事は忘れてはいけません。
四半期ごとに新製品を出すだけで開発部隊は手一杯です。しかし、キャリアの要求は過酷ですが、キャリアがある程度の量と価格を保証して買い上げてくれているので、手堅い商売ではあるのです。

こうした状況で、売れるかどうかも判らないし自分で売らなければならない海外用端末にまでリソースを投入するのは、なかなか勇気が必要なことになります。
この場合投入する人的リソースだけでも、最低限でも開発部隊の増強の他に、強力な商品企画部の編成と新規の海外営業部隊を立ち上げる必要があります。当然、金銭的リソースもそれに見合うだけの多大なものになります。

日本の携帯をそのまま持っていけば良いとの甘い考えは通用しません。
通信方式が異なるのは良く知られていることですが、i-mode、お財布ケータイ、モバイルスイカなどの日本で通用してるサービスも、他国ではインフラから整備しなければ使えないものです。
そして、一端末メーカーではこうしたインフラ整備は手に余ります。
結局は、海外専用端末を一から作る必要がありますが、日本では売れない海外専用端末を本気で売るならば、既に列挙したような多大なリソースの投入が必要となります。そして、それはうまくいった場合でも、ハイリスク・ローリターンな投資でしかない可能性がかなり高いのです。これでは、経営者が尻込みするのも無理はありません。
このようにして、日本の携帯メーカーは海外からほとんど撤退していきました。

結局、何が悪かったのでしょうね?
posted by とのじ at 20:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報通信
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