2007年02月08日

スピーカーの自作

「スピーカーは自作が安い」との認識が流布していますが、これは間違いです。
自作の経験の長い方ならば、ユニットと工作費を渡されて「有名メーカーのなんとか相当のものができるか」との問いに対しても、過去の工作の経験や工作時に培った人脈を利用して、それなりのものを作る事も可能かもしれません。
しかし、自作の経験のない人には、ユニットと工作費を渡されたところで「有名メーカーのなんとか相当のもの」は絶対に作る事はできません。
まず、ネットワークを組めません。最近ではシミュレーターがあったり、使用ユニットを指定すればそこそこのネットワークを作ってくれる業者が海外にありますが、そうした情報すら、自作をやらない人はまず知りません。
そして、木材以外の箱を作ってくれるような業者は普通は知りませんから、最も入手しやすい木材で作る事になるのでしょうが、これでは最近メーカーが良く使うアルミニウムのエンクロージャーのような強度は望めません。
更に、測定機材もそろえなければなりません。今はPCベースのものがあるので、10万円程度で必要な機材はそろいますが、それでも新たな出費となります。
それでも、努力と根性でなんとか形にしてみても、最後に果てしなき調整が待っています。ここで、ネットワークのクロス周波数や次数を変えることもしばしばです。そうなると、ネットワークは結局作り替えです。
とまあ、自作が安いと一般に言われているのは「他人のノウハウにそのまま頼ったデッドコピー」の場合がほとんどだからです。自作派の代表の長岡派は、長岡鉄男氏設計のスピーカーのデッドコピーが多かったので、「自作は安い」との誤解が広まっていますが、実際は工作を趣味とする人でなければ、到底やっていられない世界です。
つまり、一から自作をしようとすると、知恵やノウハウを蓄積する必要があり、更に工作時間の工賃分も考えるなら、メーカー製よりも高くつく事なります。更に、メーカー製並みに仕上げを良くしようとしたら、素人の日曜大工のレベルでは到底追いつきません。
メーカー製スピーカーを買うと言う事は、メーカーのノウハウと開発時間を買う事に他ならないのです。決して、ユニット+キャビネット+ネットワークと言った部材の足し算だけで判断できる世界ではないのです。
自作を趣味とする方は、その辺りをあいまいにして「自作なら安くつくよ」と言いがちですが、その方にしても、今いい音で鳴っているスピーカーの影には、それこそ何十から何百といった失敗作が横たわっている事を忘れてはなりません。
posted by とのじ at 18:23 | Comment(1) | TrackBack(1) | オーディオ
この記事へのコメント
オーディオの自作は楽しいです。私もたまにやりますが、オリジナルのものは、かけたコスト全部をどぶに捨てるくらいの覚悟が必要ですね^^; 工具や測定器具にかけたコストも馬鹿になりません。楽しみの範囲だから私には面白いことでしたが、安く出来る。といわれてオーディオ自作を始めたら… 金返せー!と、言いたくなるでしょうね。(気づけば、ですが。)
Posted by YAS at 2007年02月09日 00:38
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL


自作オーディオの音質について
Excerpt: 私は、自分で手を動かしてモノを作る事が大好きなので、アンプやスピーカーの自作経験も結構あります。結果として、自作は難しくて、サブシステムでの遊びなら兎も角、「メインシステムには組み込めない。」という..
Weblog: 螺旋館 Blog @ So-net
Tracked: 2007-02-09 00:07
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。